食物負荷試験(チャレンジテスト)について
食物負荷試験(チャレンジテスト、Oral Food Challenge: OFC)は、アレルギーが疑われる、もしくはアレルギーと確定している食品を病院やクリニックで摂取する検査です。症状が出ても医師がすぐに対応できるように、病院やクリニックで行われます。
食物アレルギーの診断や治療経過の評価のために行われる、非常に重要かつ慎重に行う必要がある検査です。
当クリニックでは重症度を考慮して安全に行うことができると判断した場合のみ、院内で施行しております。
重症度が高く危険性がある場合は高次医療機関へご紹介し、そちらで行っていただきます。
当クリニックでは医師の体制の都合上、月曜日と土曜日に負荷試験は行っております。(予約制)
目的
負荷試験を行う際には患者様の状態によって目的が異なります。具体的には以下のような目的があります。
- アレルギーが本当にあるかどうかの確認(偽陽性・偽陰性の判別)
アレルギーの確定診断、除外診断の検査です。症状が出ることも想定されるため十分注意して行われます。 - 耐性の獲得(食べられるようになったかどうか)を確認するため
アレルギーと確定した食品が食べれるようになったかどうかの検査です。クリニックで多く行われる検査です。 - 食事制限の必要性・量を見直すため
制限が必要あるかどうか、量を増やせるかどうかの判定に行われます。
経口免疫療法(OIT)を行っている場合に、量を見直す(多くは増量する)ために行われることが多いです。
実施方法
当クリニックでは食品を2段階ないし3段階に分けて少量ずつ負荷します。当日の総量を総負荷量として自宅で経口免疫療法を行う量の指標とします。
- 少量の食物を段階的に摂取し、症状が出るかどうかを観察します。
- 通常は病院内(入院または外来)で医師の監督のもとに実施されます。
- アレルギー反応が出た場合に備えて、アドレナリン(エピペン)や抗ヒスタミン薬などの対処法を準備した上で行います。
また、試験の種類も2種類あります。
オープン食物負荷試験
通常はこちらが行われます。特に小さいお子さまの場合は食品が見えていても心理的な面でも大きな影響は出ないためこちらが選択されます。
・患者様も医師も何を食べているかを知っている
・一般的によく行われる
単盲検/二重盲検負荷試験
年長児に行う際などに稀に行われます。初めて食べる場合や、長期間食べていないものを食べると、心因性の症状が出現するためです。
その影響を排除するために食品がわからないようにすることがあります。
・第三者が準備し、患者や医師が何を食べているかを知らない
・プラセボ効果を排除でき、診断の精度が高い
負荷試験を施行する上での注意点
検査前の体調管理
発熱や風邪症状、喘息の悪化や疲れ・睡眠不足がある場合などは、健康な時に比べて症状が強く出る可能性があります。
そのため、負荷試験前に体調の確認を行います。
上記状態の場合は、負荷試験を行わず延期することもあります。
内服薬の確認
アレルギー症状を抑制する内服薬(抗ヒスタミン薬やステロイド剤など)を利用している場合は、休薬可能な場合休薬する必要があります。
これは、内服薬によりアレルギー症状が出にくくなり、負荷試験の結果に影響を与えるためです。
まとめ
食物負荷試験の概要を解説しました。
アレルギー診療の中でも食物負荷試験は症状発現のリスクがあり、慎重に行う検査です。
検査のご希望がある場合は、医師にご相談ください。
アレルギー食品の種類や検査結果などから総合的に判断し、食物負荷試験の要否・可否を検討します。
また、食物負荷試験が必要なお子さまにはこちらから打診させていただきます。
当クリニックではリスクが高く危険と判断した場合は、受け入れ可能な高次機能病院などをご紹介いたします。
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執筆者
金 尚英KIN NAOHIDE
副院長
赤羽小児科クリニックの副院長、金 尚英(きんなおひで)です。私自身、二児の父親として子育てに奮闘する毎日を送っております。
その実体験を活かしながら、皆様のホームドクターとして、信頼に応えられるようこれからも学び続け、成長してまいります。
必要な時にいつでも頼れる存在として、ちょっとした体調の不安や育児のお悩みなども、ぜひお気軽にご相談ください。
所有資格
- 2011年 日本大学医学部医学科 卒業
- 2011年4月〜 川口市立医療センター 初期臨床研修(小児コース)
- 2013年4月〜 日本大学医学部小児科入局 附属病院にて後期研修
- 2015年4月〜 あしかがの森足利病院へ医局派遣
- 2015年10月〜 沼津市立病院へ医局派遣
- 2016年10月〜 都立広尾病院へ医局派遣
- 2020年4月〜 赤羽小児科クリニック 副院長就任