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卵白アレルギーについて

卵白アレルギー

食物アレルギーの中でも卵アレルギーは最も頻度が高いアレルギー食材です。卵は卵白と卵黄に分けることができますが、卵白は一般的な食物アレルギーである「即時型アレルギー」が多くなっております。卵黄は消化器症状を来たす、「消化管アレルギー」が多いアレルギー食材です。
卵白アレルギーは、特に乳幼児に多く見られるアレルギーですが、成長とともに寛解するケースも多く、正しい知識と対応が重要です。
食物アレルギーと診断されると、親御さんのショックは大変なものと思いますが、正しい知識と経験のある小児科アレルギー専門医の指導の元正しい方法で克服を目指しましょう。

卵白アレルギーの概要

原因物質

卵白に含まれる主要なアレルゲンは、以下のタンパク質です。
オボアルブミン:生卵白の主成分で、加熱によって変性しやすい
オボムコイド:加熱しても安定なアレルゲンで、症状の重症度に関与することが多い。
オボトランスフェリンリゾチームも関与する場合がある。

乳幼児に多い

卵アレルギーは乳幼児で最も一般的な食物アレルギーの1つです。日本では特に生後6か月~1歳ごろに診断されることが多いです。

症状の多様性

症状は軽症から重症まで多岐に渡ります。
皮膚症状(じんましん、かゆみ、湿疹の悪化
消化器症状(嘔吐、下痢、腹痛)
重症の場合、アナフィラキシー(血圧低下、呼吸困難)を引き起こす可能性もあります。

卵白アレルギーの有病率

日本における卵白アレルギーの有病率は、調査対象の年齢層や地域、診断基準によって異なりますが、以下のような状況です。

乳幼児における有病率
  • 卵白アレルギーは、日本では乳幼児で最も一般的な食物アレルギーの1つ。
  • 研究によると、乳幼児(1~2歳)の約5~10%が卵アレルギーを持つとされています。
  • 年齢とともに耐性がつくことが多く、約70~80%の子どもは学童期までに卵アレルギーを克服すると報告されています。
全体の有病率
  • 成人を含めた全人口での卵アレルギーの有病率は、1%未満とされています。
  • 成人で卵アレルギーが見られる場合は、幼少期から持続しているケースが多いですが、稀に成人発症もあります。

診断と治療

診断とその方法

まずは摂食して症状が出現した、という事実が先立つことが基本です。検査を先行して行い未摂取の状態での確定診断を行うことは基本的にはありません。
摂食してアレルギー症状が疑われる患児に対して、血液検査(特異的IgE測定)、経口負荷試験、稀に皮膚プリックテストなどが用いられます。経口負荷試験は専門医の監督下で行われ、アレルギーの程度や耐性の有無を確認します。

治療

除去食療法
自然寛解まで卵白の必要最低限の除去を行うこと基本です。ただし、必要以上の除去は栄養不足を招く可能性があるため、医師の指導が重要です。
「必要最低限の除去」というのは裏を返すと「食べれる分は食べる」ということになります。
その方が体が慣れるためアレルギーを克服しやすい、というイメージです。

経口免疫療法(OIT)
基本的には上記のように「必要最低限の除去」を行い、一定の時期で寛解し克服することが通常の予後になります。
一方で重症で少量の卵も食べることができない患児に関しては、経口免疫療法(OIT)を行います。
これは、微量〜少量の卵を段階的に摂取することで耐性をつける治療法で専門医による慎重な指導が必要です。

生活上の注意

  • 食品表示の確認
    日本では食品表示法により、卵は特定原材料として表示が義務付けられています。ただし、「加工品」や「調味料」には微量の卵が含まれる可能性があるため注意が必要です。

  • 外食や学校給食の管理
    外食時には卵アレルギーがあることを事前に伝え、学校ではアレルギー対応メニューや事前のアレルギー管理指導表の提出が必要です。特に卵は使用頻度の高い食材です。器具の使い回しにより、作り手の意図に反して混入することがあるため、気をつけていただくようお伝えください。

  • 家庭での注意
    上記のように食材としては使用頻度が高いため、家庭でも器具の使い回しに気をつけましょう。また、お菓子や加工品にも含まれているため特に注意するようにしてください、

  • 家族や周囲の理解
    家族や保育者がアレルギーについて正しい知識を持ち、誤食を防ぐための環境作りを行なってください。

以上になります。
卵白アレルギーは患者さんの多い病気ですが、専門性が高い疾患とも言えます。
卵白アレルギーが疑われる際や、診断された場合には小児科アレルギー専門医の指導の元に克服を目指してください。

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